私はかねてより、「朗読」に興味を持っていました。ふだん私たちが書物を読む時は、声を出さないで読む「黙読」です。もちろん、書物から受ける感動は、黙読に勝るものはありません。しかし、黙読から受ける感動は、自分だけのものです。声に出して読んで、初めてその感動を、他の人にも伝えることが出来るのです。また、感情のこもらない棒読みでは、その感動が相手に伝わりません。どのように読めば、聞く人に自分の受けた感動を、同じように相手に伝えることが出来るのでしょうか。 東京クラブでは、今までにも何度か、朗読のワークショップを、その道のプロの指導のもとに勉強しました。しかし、「詩」を取り上げたことはありません。今回は、その「詩」に挑戦したいと思いました。指導をお願いした望月鏡子先生は、はじめ、その要求に難色を示されました。「詩は、表現があいまいで、読み手によって感情が異なる」、と言うのが理由でしたが、「茨木のり子の詩は、主張がはっきりしているので、指導が可能だと思う」とのお返事を頂き、教材は、茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」となりました。戦争中に青春時代を過ごした女性の、怒りと哀しみが、その詩から溢れ出ています。 準備は8月から始まりました。9月末には会員に詩を配信して、11月に備えてもらうようにしました。 90分のプログラムは、あっと言う間に過ぎました。会員全員が、自分が受けた感動を声に出して読み、先生から指導を受けて読み直す、すばらしい90分でした。プログラム最後に、先生ご自身が詩を朗読して下さり、また感動を新たにしました。茨木のり子の「わたしが一番きれいだったとき」を選んでくださった先生に、心から感謝です。又いつか、プログラムで、朗読に挑戦したいと思いました。 11月プログラム担当
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