プログラム後記
今月のプログラムは、第1部「石川啄木の没後100年を迎えて」、第2部「今日の話題」で構成された。
今年が啄木の没後100年にあたるので、皆で改めて勉強することになった。多くの会員が、啄木というと貧しい生活の中で、病苦と戦いながら詩や短歌を作ったというくらいの理解であったので、プログラムを通じてその印象に変化が与えられるかが、1つの目標となった。
このプログラムは3つのスピーチから始まった。
第一番目のスピーチは「石川啄木の生涯」で、わずか26年の生涯を「盛岡時代」、
「放浪時代」「東京での作家活動時代」「大逆事件とその後」の4つに分けて説明し、その思想と人柄についても触れた。特に大逆事件が、啄木に与えた思想的な影響は、短歌のバックボーンになっているので、重要な点であった。
第二番目は「その短歌」についてのスピーチで、先ず和歌と短歌の説明があり、啄木の一時代前の樋口一葉の短歌との読み比べを行った。一葉の美しい短歌に比べ、啄木は正岡子規の近代短歌への改革に影響を受けて、生の生活感を短歌に詠み込んでおり、そこには100年経過した今も、現代人に共感を抱かせる人生の真実が歌われていることを知った。
第三番目のスピーチは「盛岡の啄木祭」と題し、盛岡を故郷とするスピーカーが、
「盛岡の啄木祭」の立ち上げに関わったという貴重な経験を踏まえて、今年の没後100年の記念の祭までの発展を伝え、盛岡の人々の啄木への思いを語った。
この後、4つのグループに分かれ、ディスカッションを行った。発表では、今回のプログラムにより、「啄木の思想や短歌について深く知ることができた。」、「短い生涯であり、もっと生きていればどのようになったか興味がある。」「近代短歌における啄木の短歌の特徴が分かった。」などの感想が述べられた。
一人の文学者を多角的な切り口で見つめることができ、面白いプログラムとなった。
第二部の「今日の話題」では「カメラ」と題して色々な場面でのカメラとの関わりを話した。スナップ写真は人間関係を語る、写真には意味があるなど思い出とともに指摘され、また、携帯写真の使い方のアイデアも紹介された。ユニークなトピックであったが、興味深い話を引出すことができ、新人の会員も素晴らしいスピーチを披露し、心強い限りである。
プログラム委員会
|