プログラム後記 9月例会はお二人のゲストをお迎えし、会員は久しぶりの再会で和やかに始まりました。 プログラムは、課題図書 水村美苗著「日本語が亡びるとき」を取り上げました。プログラム委員会は暑さと省エネ、その上オリンピック観戦で忙しい今夏に取り上げるかどうか躊躇はありましたが、言葉を中心にしてコミュニケーションを図る私たちとしては価値ある一冊として、複数の候補の中から決めました。プログラムを下記1〜3の三つの柱に仕立て、レポートをお願いする発表者だけでなく、全員に予め伝え、同じ設定で皆さんの意見をいただきたいと考えました。 1.「著者について」のレポートは、生い立ち、作品の背景、他の作品の紹介など水村さんの本を並べて見せてくださり、総評では「読む前に聞きたかった」と、興味を誘うものでした。 2.「作品から受けた衝撃・知的刺激について!」フロアーが衝撃を受けたのは、発表者の「第一言語を英語に!」の発言!よく聞いてみれば日本人の考え、センス、マナー等日本をきちっと伝えるための手段として、英語をもっと磨かなければとの発想と分かりました。もうお一人は古典時代の公用語ラテン語の話題から英語世紀へ、世界歴史情勢を織り込みながら発表をなさり、インテリジェンスを感じさせるものでした。 3.「あなたにとって読まれるべき近代文学作品とは何か。」近代の定義付けも難しいまま、発表のお二人が応えてくださいました。昔読んだ作品の印象に加え、読書好きなお孫さんの読後感まで幅広い層に触れる機会が得られました。お一人は私の偏読書と題して発表、様々な作家・作品とそのスピリットが紹介されました。 フロアーからは、漱石の「門」や「心」が当時の新聞連載小説だった社会背景におよび視点の広さにも興味が尽きません。会員のそれぞれの視点を引き出す、プログラムリーダーの紡ぐ力にも助けられました。 プログラム委員会
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