プログラム後記

3月例会のプログラムは、演出家の三田地里穂氏のご指導によるドラマティック・リーディングのワークショップでした。ドラマティック・リーディングとは、余り聞き慣れない言葉ですが、通常のドラマ創りの工程のひとつで、本読みの後、本格的な演技に入る前に行うものです。その場ですべてを行う「初見リーディング」や「即興劇」とは違います。

 三田地先生が東京クラブ3月例会のために選んで下さった台本は、N.ベイム作、三田地里穂訳の「運まかせ」、10分前後のミニ・プレイで、本邦初演です。登場人物は、アカデミー賞を受賞したハリウッドの大女優ジェイン・ローリー、ジェインの娘で同じように女優志望のチップ・ローリー、ジェインの昔の同僚で、女優志望ながら役がつかずそのまま埋もれてしまったネリ―・バーンズの3人です。この3役をくじ引きにより選ばれた6人の会員が、1役に2人のダブルキャストで演じました。三田地先生によりますと、1役を2人が交互に担当することで、お互いの修正ができ、リーディングを好ましい方向に進展していくことができるのだそうです。

 ドラマティック・リーディングは、服装の決まりが厳しく、出席者全員に上下黒の服装、特にスカートはフルレングスを必ず守るようにとの指示がありました。2名のゲストを含め、この日の出席者全員21名がその指示を見事に守り、全員が上から下まで黒づくめで勢ぞろいした様子は担当委員としては感激でした。ただ、時間の関係から、ドラマティック・リーディングの出演者が6人に限られたことは残念でした。

事前の宿題として、台本を少なくとも3回は通しで読んでくることと、与えられた課題の台詞を毎日声に出して読んでくるようにと言われ、全員が1ケ月間準備しました。課題の台詞とは、3人の登場人物の台詞の中でもその人物の心情を一番よくあらわしていると思われる台詞のことで、三田地先生が選ばれました。会員は、ジェイン、ネリ―、チップのどれかになり、毎日毎日家で声を出して練習しました。

初めてのドラマティック・リーディングで不消化な点もあり、企画を担当したプログラム委員としては大いに反省していますが、従来のプログラムでは経験した事がない新鮮さもあり、さらなる工夫を加えて、コミュニケーションの勉強法の一つとして再び挑戦してみる価値は十分あると思いました。

                                         プログラム委員会

  

プログラム