プログラム後記
例会は、中秋の名月にちなみ、会場にススキとりんどうが飾られ、読書の秋を感じることができました。
今月のインスピレーションは、ドクター・スースの「新しいことに挑戦すれば、飽きることはない。あなたにできることは、本当に無限である。」という、モチベーションの上がる言葉からのスタートでした。
プログラムは、課題図書「モモ」の著者ミヒャエル エンデのリサーチスピーチが発表され、著者の幼少期から老年期までの人生、生きた時代またゆかりの場所や著者の写真などが提供され、本には描かれていない時代背景を詳しく知ることができ、興味深いものでした。
続いて「モモ」についての意見発表はラウンドテーブル・ディスカッションで行い、3つのテーマに分けて、プログラムリーダーが質問を投げかけました。
1.登場人物の立場、視点から考えてみる
2.「時間について」
3.この本を通して作者が伝えたかったメッセージ
1については主人公モモの視点からの意見が多くありましたが、ジジやベッポおじさんの立場の意見もあり、物語を多角的に感じることができました。
2については、合理的な時間の使い方が必ずしも幸せではないのだということを皆で共感し合うことができ、本当の豊かさについて深く考えられたと思います。
3については、現代社会において「時間がない」と気楽に使ってしまう言葉や、気軽に「忙しい」と言ってしまうこと、一見無駄だと片付けられてしまうことにこそ、丁寧に時間をつくることで、心を無くすことなく、ゆっくりと「今」を感じることができる、それが本当の人間としての豊かさなのだということに改めて気づいたという感想が多くだされました。その中に、この本を手にしたきっかけや、ご家族との関り、またはご自身の価値観から、自分の人生を見つめるような意見や感想も多く伺えました。
児童書とは思えない、哲学書とも言えるような「モモ」から、本当に大切なものを思い出させてくれる、そんな感慨深い時間となったと思います。
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